「日中介護交流プラットフォームオンラインセミナーVol.4」開催レポート
12月10日に、本年最終回となる第4回目の「日中介護オンラインセミナー」を開催しました。
年末のお忙しい時期にも関わらず、日本だけでなく、中国からも多数の参加があって、いつもと変わらず賑やかなセミナーとなりました。皆さんが、介護人材に関心が高いことの表われです。
参加者は、世界で著名なヘルスケアコンサル会社、大手マスコミ、財団、介護事業者、人材派遣会社、外国介護技能実習生を派遣する組合関係、中国国有企業と訪問介護事業者などです。
今回のテーマは、日中介護人材についてです。
「日本&中国の介護人材育成と現場の最新情報」
――若者は“介護と言う仕事”をどう思っているのか ――というタイトルです。
セミナーは以下のプログラムで進行しました。
中国の教育機関で介護人材を育成する第一線の専門家石暁燕先生(九如大学執行校長)と日本の介護現場で豊富な経験を持ち外国介護人材を導入する分野で第一人者で専門家の髙山善文様(ティー・オ・エス株式会社 代表取締役)による素晴らしい講演をいただきました。
中国は、急速に進む高齢社会に対して、介護人材の不足が深刻です。
現在、人手不足のほか、介護スタッフの学歴が低い、技能技術のレベルも低いなどの現状があります。
そのため、国が様々な政策を打ち出し、介護人材の育成に力を入れています。
介護人材を育成する教育機関と介護を専門とする学部を増加させました。
また、若者に介護という仕事への理解と従事をさせるため、就職の奨励金などの金銭的な支援や社会地位の向上、無料での研修などの取り組みで資源投入を惜しみません。
そして、技能を競うコンテストも各地で行われ、スタッフの技術を身につけ士気を高める成果があります。
とくに、奨励金に関しては、
北京の場合は、下記のように補助金制度を設けています。
・就職奨励金(北京の場合) : 5万元(約80万円)(専門学校の卒業生、分割で支払い)
・現場手当:平均1000元(約1.6万円)/月→平均給料の4分の1
上記は北京という一例となっていますが、
各地で似たような補助金制度があり、金額は多少異なりますが、政府の姿勢は同じです。
そして、本セミナーのために、石院長が海外へ介護を勉強しに行くかどうかのアンケート調査を、
三つの学校で1000人以上の学生を対象に行ってくださいました。
半分以上の生徒が海外の介護を学びたいと意欲を示している一方、
半分弱の生徒は言葉の壁や文化・生活習慣の壁があるため消極的です。
総じて、今は、中国では高齢者事業が「朝陽産業」と形容されているため、
一人一人にとってキャリアを積むチャンスが中国国内にもたくさんあるということです。
一方、日本も中国と同じく介護人材が大変不足し、介護は若者にとっては選びたくない職種の一つとなっています。
日本では、介護人材を育成する資格システムが成熟しています。
介護技術だけではなくて、人間の尊厳と自立、人間関係とコミュニケーション技術なども、多方面の素質を求められています。
近年、介護現場の人手不足を解消するため、政府が外国人技能実習制度を設立しましたが、現状はそれほど進んでいません。
アジアの若者が日本に介護という仕事を目指してやってくるのか。
今回のセミナーでも、日本側の講師高山様に質問が集中していました。
日本側の外国人の採用にまだ不安だったり、躊躇したりしている中で、
中国から見れば、日本は語学や資格には厳しい基準を設けているため、壁が高いようです。
そこで、日中両国ともに通用できる「国際クロス資格」というものは将来出てくるのかという質問がありました。実に興味深いです。
現在、外国介護技能実習生の導入にかなり双方の思いがずれていることが多い中で、
双方の思いが一致し、win winの関係を作るのに、緊密な意見交換がとても必要だと、今回のセミナーを通じて実感しました。
今回も参加者から多くの質問をいただいたため、2時間の設定を30分も伸ばしました。
それでも退室者がいなくて、みんな一体となって活発な意見交換を行いました。
ウェブでも、このような臨場感たっぷりのセミナーができるとは、と我ながら感心しました。
参加者の皆様のお陰です。本当にありがとうござました。
セミナーが終わってから、続々と皆様の感想が寄せられました。
「大変参考になりました!またぜひ参加させてください!」
「石院長がさすが第一線の教育者であり、とても分かり易くお話しされました。これで中国の介護事業と人材について理解できました」
「大変示唆に富んだセミナーでした。高山先生のお話しはとても勉強になりました、面白かったです!」
「今までいろいろな介護人材に関するセミナーに参加しましたが、
今回は一番学ぶことができて、楽しかったです!また、人材関連のセミナーをやってください」
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などのお言葉をいただきました。
主催者としては、大変励まされました。
これを原動力として、来年もセミナーを企画・運営に努力してまいりますので、
皆様のご参加、引き続きお待ちしております。