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来日の視察が急増、中国は「日本の介護」をどう見ているのか

今年に入ってから、中国から日本の高齢者事業の視察・交流が急増しています。
コロナの3年間、日中の介護分野の交流が「途絶」してしまったため、その反動というか、「この3年間で日本の介護はどのように変化したのかを知りたい」という目的が多いようです。

数件の依頼を受けまして、アテンドしました。東京にある特別養護老人ホームやデーサービスなどを見学し、交流を行いました。

大体、その後,中国の皆さんは、「日本の介護事業者の皆さんがうらやましい!」、「日本の介護をみて、我々の“常識”を覆された!」などの感想を述べていました。

一体、何を見て、そのような反応となったのでしょうか。

日本では名高い介護事業者「あおいけあ」を見学した時、利用者さんのほぼ全員が認知症の方なのに、まるで自宅にいるように、自由自在に過ごしたり、共同作業でお食事を作ったりして、何よりも認知症の方が包丁やハサミを使っている場面には、見学者一堂がびっくり仰天でしたようです。

「なんと、包丁を使っていいのですねー!我々は包丁やハサミを棚に鍵をかけて管理しています。入居者さんに絶対包丁を使わしてはいけないです」、「政府がそのように指導しているからです」と話されました。

中国は高齢者人口が急増するにつれ、認知症の数も増えつつあり、現在約1000万人の認知症の方がいると言われています。認知症の人にとって「暮らしやすい社会の構築」というのが急務となっていて、認知症に対しての関心が高まりつつあります。

近年、日本は「認知症は特別な存在ではなく、普通の人だ」という理念が浸透しているのに対して、中国は一部少数の施設を除き、今は日本と逆の方向に動いているのが実情です。例えば、各施設には「認知症専用」の区域を設けて、認知症の高齢者が特別に扱われている状況です。そして、先ほどの「包丁」の話に示されたように、「安全」を取るため、認知症の高齢者の活動空間が奪われていて、非常に制約された環境です。

中国は近年、高齢者人口が急増するにつれ、介護サービスが飛躍的に向上していますが、実際、日本を訪れて直に見聞すると、まだまだ「学び」の必要性があるとの感想が多いです。

改めて、日中の交流がいかに重要であると実感しました。

 


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