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2015年回顧(中国福祉関連のレポート&感想&情報)

 明けましておめでとうございます!
2015年はあっという間に去っていきました。昨年は、本当に忙しく追われた一年でした。皆様にお伝えすべきことは、その忙殺で伝えきれず、2015年の大きなことの回顧として、ここで改めて発信します。自分の記録のためにも。

 

「香港福祉事情視察ツアー」レポート

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   5月17日~20日、高齢者住宅新聞社の主催で、私がコーディネートした「香港福祉事情視察ツアー」が実施されました。17名の方が参加されました。   香港という町は、グルメとショッピングのイメージが強く、高齢社会についてどういう状況なのかは、これまで関心が薄かったと言えます。ところが、人口750万人で約110万人が65歳以上、高齢者の人口率は約15%です。やや意外なのは、香港人の平均寿命は日本と1位を争い、2014年香港の男性の平均寿命は80.87歳で、世界一だったのです。

   日本における香港の介護事情の情報の少なさ、また双方の介護分野交流がかなり少ないため、訪問先の選定や、現地の関係者らとの意見交換の場を設定するのに、コーディネーターとしてこれまでなかった苦労をしました。最終的には幸いにも、中国本土の政府関係の協力などを得て、予定以上のことができました。3泊4日のうち、7か所の施設や、デイなどの見学、そして地元の福祉と大学の関係者らと2回の交流を行いました。

以下はまとめです。

●高齢社会の現状

  • 高齢化が進み、施設が不足しています。65歳以上は15%で約110万人、ベッド数は32000で、入居待ち人数が多く、2014年は5700人の方が待っている間に亡くなられた。
  • 2000年実施の「安老服務統一評価制度」が入居基準。「長者宿舎」→「安老院 」→「護理安老院→「護養院」の4種類→につれ、医療依存度や介護度が高くなる。
  • 政府の補助金で入居する率が高い。

●施設の現状

  • 土地資源が少ないためコスト高を反映、利用料金が高い。
  • NPOの運営が多く、約90%を占める。
  • 入居者の80%が何らかの形で、多少なりの政府補助金で入居するという統計。
  • 施設の福祉機器や、設備は、まだまだ未整備。
  • 施設では、離乳食のようなお食事、質素なお食事。経管栄養、拘束の光景が随所に見られた。やや衝撃的な場面も。中国の上海や北京と比べたら、遅れている印象を持った。

●ボランティア、ソーシャルワーカーの役割が大きい

  • 「香港ボランティア発展局」があり、各分野で活躍。福祉分野においてのボランティアの約半数は60歳以上の高齢者。
  • 香港7つの大学にソーシャルワーカーを育成する学部がある。施設などで、入居者の精神ケアを担う。

●日本と香港の福祉分野の交流について

  • 双方の交流はこれまで極めて少ないのが実態である。
  • 香港の福祉関係者は日本の情報を知らないし、日本からの発信も少ない。
  • 理念、サービス、制度などについて、これから交流と理解を深める必要があると強く感じる。
  • 日本に行きたい、見学や交流をしたいとの声を今回すべての施設で聞いた。

 香港人の長生きの秘訣は、社会保障制度や、医療機関の充実、医療技術の発達など以外に、「医食同源」、漢方の力はかなり威力を発揮していると最近の分析があります。街角で沢山の漢方薬の商店に、朝鮮人参、霊芝、ツバメの巣など高価のものもあれば、季節ごとにいろいろな生薬が店頭に並べられています。性別や年齢を問わず、若者でもそれらを気軽に買って煎じたり、料理に入れたりして、日常生活の中で深く浸透しています。また、狭い香港の割に6500か所の漢方診療所もあり、市民が病気のためではなく、養生のために通い、その時の体調に合わして漢方薬を処方してもらう習慣があります。ゆえに、香港の街は漢方薬の匂いが漂っている気がする時があります。こうした生活習慣も長寿の背景であり、日本も学ぶところがあるかもしれません。(終わり)

*香港ツアーに関する情報は、もっと詳しいレポートは、下記をご参考に
「香港福祉事情視察ツアー」 レポート(2015年5月)

「上海&浙江省介護現場視察ツアー」を実施しました

下記アドレスよりご覧ください。

「日中シルバー産業勉強会 by 大阪商工会議所」で講演しました

詳しくは、こちらをご参考に

「高齢者住宅フェア 2015 in 東京」で講演しました

詳しくは、こちらをご参考に

「中国シンクタンク・金融機関研究者らの日本視察」

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 9月25日~31日、中国の上海・北京・広州・深センの主要4都市から、中国を代表する大手シンクタンク、主要金融関係のトップ研究者ら、国のブレーンとも言うべき21名の方が来日し、日本介護ビジネスの視察と交流を行いました。メンバーは、SWS Research、Morgan Stanley Huaxin Fund Management、ICBC Credit Suisse Asset Management、AnBang Asset Management、E Fund Managementなどの所属で、幅広い年齢層で構成されていますが、20代~30代の若い方が3分の2を占めています。 来日の目的は、最近中国国内で加熱する介護ビジネスの展開について、日本の現状をリサーチし研究して、今後中国のこの分野の産業について、国にレポートし、提案する立場であるためです。

 一行は、限られている一週間のうち、特養、有料、ディサービス、小規模多機能、日本版CCRCなどを見学・交流しました。訪問先の至るところで、見学した後も熱心に質問し、問題点を突くところまで意見交換を行いました。彼らはこれまでのミッションと違って、介護理念や内容はもちろんのことですが、それより投資戦略の視点での問題討論に重点をおきました。 公益の色が強い高齢者福祉ですが、企業にとっては、利益を出さなければならない現実があります。見学先では、利益のことをあまり話したくない、タブー視している特養の施設長もいれば、フランクに教えてくださった高級有料老人ホームの経営者の方もいました。

 高齢社会の問題は、中国政府にとってはもう避けて通れない問題となり、長年の高度経済成長を経てきた今は、この問題にきちんと対応できなければ、経済の発展が持続できないほど大きな課題となっています。しかし、経済と地域の格差や、社会制度が完備してない中、介護保険が無い中で、介護ビジネスを成功させるのは日本以上に難しい環境です。

  一行が帰国の前日に、都内のある特養の会議室を借りて、日本の専門家をお招きして、「日中福祉交流会」を開催しました。日本側が、第三者福祉サービス評価機構の代表、福祉専門誌の新聞社社長、介護事業者の社長、そして施設設計関係の専門家などと一堂にして、日本滞在中に見たこと、考えたこと、疑問に思ったことをまとめて、ここで全てをぶつけて、答えを見つけたいという勢いで、意見を交わしました。日本の専門家の皆様が丁寧に説明し、時間を忘れたかのように熱い討論が続きました。

  そして、一か月後、中国の高齢者事業と介護ビジネスがどういうあり方であるべきか、日本の事例を踏まえた長い論文が国の機関紙で発表されました。また、あるメンバーが中央テレビ(CCTV)の特集番組にコメンテーターとして出演されました・・・

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この一週間のために、私は一か月以上の準備に追われました。中国の引率側との、日本の見学・交流先の選定・依頼・連絡、両サイドとの数えきれない、ものもの書類作成、メールや電話などの往来・・・、最近中国からの見学を拒む施設もでて来たりしている中で、日本の関係先の皆様のご協力で、充実かつバランスの良いスケジュールができました。そして一週間の付きっきりのアテンド、通訳・・・・・・ひどく疲れましたが、達成感を大きく味わうことができました。

 当初、この仕事を受ける時は、私はかなり躊躇しました。人数が多いのと、メンバーが皆エリートで、しかも「80ハウ、90ハウ」(80年代、90年代で生まれ)の「一人っ子」が多い、きっとわがままで協調性が欠けているだろうと。ところが、私の心配はまったく無用でした。彼らは、IQが高いだけではなく、非常に礼儀正しく、思い遣りがあって、団体行動には協力的で、見学交流先でいつも褒められました。彼らと一週間を過ごして、私自身もこういった中国の若者への見方は変わりました。このような優秀な若い人こそがこれからの中国を支えていく大きな力源です。(おわり)

 

「H.C.R」会場で、「中国介護ビジネス説明会」を開催しました

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 10月8日の午後、東京ビックサイトの会議棟の一室で、上海市民政局と上海市国際貿易促進委員会「日本のJETROに該当」の主催で、上海国際展覧中心有限公司(SHANGHAI INTEX)と当方の日中福祉プラ ンニングの運営で、「中国介護ビジネス説明会」が開催されました。

上海市民政局の福祉担当局長高菊蘭さんがこのために来日し、政府の立場で上海の福祉市場の現状と今後政府の政策などについてお話されました。そのほか、日本ジェトロや、公益法人関西シルバーサービス協会の代表らがそれぞれご挨拶され、その後中国最大級の国際福祉機器展主催運営である上海インテックスの担当や、日中民間企業各一社が、具体的な例を用いて、日本企業がどうすれば早く、かつリスク最小限に中国市場にアクセスすることができるのかなどについて、講演を行いました。

 この説明会のために、3か月前から上海で主催側と打ち合わせし、共同企画しました。その後会場を借りる手続きや、日本の後援側との連絡などのやりとり、会場の運営まで。その上中国側によるスピーチや講演などすべての翻訳(PPT資料を含む)も担当し、当日の通訳まで一人でやり遂げました。

  80人収容できる会議室は、結局100人以上の方が来場され、立見が出たほどの大盛況。約2時間の説明会は、非常にテンポよく着々と進んでいき、お話する側も、聞いている皆様も真剣そのもので、熱い雰囲気に包まれました。

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 中国の高齢社会ビジネス市場は確実に大きくなっていきます。理念の浸透や購買力が増すにつれて、多様化されたサービスを求められ、福祉器具への認知度とニーズも高まる一方です。プロジェクトの最後となった日本の貿易商社CBCグループが中国介護市場開拓の経験談との内容で、失敗談も恐れず、フランクにお話してくださいました。これは教訓として、聴衆の皆様にとても参考になることに違いがないでしょう。

 この説明会を通じて、中国介護市場への日本の皆様関心高いことを改めて、身をもって感じました。(おわり)

アジアの福祉関係者が「H.C.R」を見学して、感動の声続々

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 10月7日~9日、東京ビックサイトで開催された「第42回国際福祉機器展」は、10月7日~9日開催の「第42回東京国際福祉機器展HCR」には大勢の来場者が訪れました。アジアからの方が目立ち、皆さんに感想を聞くことができました。「素晴らしい!高齢者用品においては世界一だ」、「このテーマで、こんな楽しい展示会できることは、さすが日本だ」、「シンポジウムでの介護の理念や理論よりも、この展示会での具体的な展示が参考になることが多い」、「他国だったら、高齢者テーマはどこかで暗いイメージさえあるのに、日本はお祭りのような雰囲気の展示会、感動しました!」などなど・・・

 私はその間、上海市民政局長一行のアテンド(東京の介護施設を見学されました)、「中国介護ビジネス説明会」の運営と通訳担当、そしてその他のいくつかの来日ミッションの対応。目まぐるしい数日でしたが、達成感もたっぷり。

 香港の著名な福祉団体の新人研修日本視察をアテンドした際、意見交換の時、香港の若者は、日本の施設に深く感動したと言い、そして将来、日本で介護スタッフとして働きたいと強く訴えられました。メンバーの中で、日本のアニメが好き、そのために日本語は少しできるという、見るからに好青年である数名の若者が「日本の施設で働くには、どういう条件が必要ですか」などと聞かれました。介護現場で深刻な人手不足で悩んでいる日本、今後香港の人材を日本に来てもらう可能性もあるとして、このような仕事も視野に入れておきたいと思うようになりました。(おわり)

「北京福祉政策&介護現場視察ツアー」を実施

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~有力な福祉企業訪問、政府と交流、デイサービス見学

視察の主な内容:

  • 福祉機器販売・レンタル、介護施設を展開する有力企業訪問、本音を聞き出す
  • 政治中心の首都、今後の福祉政策を探るべく政府関係と意見交換
  • 民間施設見学、北京ならではのスタイルを実体験
  • 多くの高齢者が自宅で過ごす「在宅介護」の実態を把握

10月14日~17日、上述の「ツアー」を実施しました、参加者は合計10数名でした。

北京の場合、都市全体が大きいということで、しかも渋滞がひどいため、移動時間がかかるから、少し余裕を持って行動したほうがいいと思い、見学先の数は少し控え目にしましたが、出発直前に、「その施設は最近注目されている」との情報をもらって、ちょうど北京にあるので、どうしても行きたくなってきました。

 その施設というのが、北京市内から車で2時間かかり、かなり郊外のところにあります。廃校した小学校を改修して、現在90名の高齢者が入居、満床となっています。その特徴は、仏教を日常生活に取り入れていて、「ニーハオ」の代わりに「南無阿弥陀仏」が挨拶語、朝の「念仏体操」や、午後の念仏タイムなどが日課となっています。入居者の中で入居当時は寝たきりだったり、半身不随だったりした人が、徐々に回復し普通に歩けるようになったという。とにかく、入居者も、スタッフもみんな良い表情で、施設長の輝いている目はとても印象に残りました。

立地でも、施設のハードでも、お世辞でもいいと言えないのに、なぜ満室で、100人以上も待ち状況なのか、考えさせられました。高齢者のニーズは多様で随所にありますが、先着して見つけられるかどうかです。この施設は最近中国国内で大きな話題となり、見学者が絶えないというホットなところで、外国からの見学は、我々が初めてだと言われました。まさに先着しました。

北京の有力養老投資管理会社をお邪魔しました。

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278ベッドの施設と福祉機器の常設展示場を見学し、意見交換を行いました。社長は、私の友人でもあり、日本の福祉を高く評価する人物で、頻繁に来日され、日本の介護理念や特徴を勉強する姿勢が強いです。日本の良いところを中国の実情に取り入れるモデルとして、今後中国の介護業界では注目される存在になるに違いがありません。北京滞在中、彼にインタビューを行いました。「どんな施設を作るかより、その施設がなぜ必要なのかを考える」という言葉が印象的でした。彼は、中国の福祉は日本より30年も遅れているとは言っておられましたが、このような真剣さで高齢者福祉と向き合う姿勢であれば、30年どころか、10年もしないうちに、日本に近づく、そして追い越せする日がやってくるだろうと思いました。

昼間のハードなスケジュールが終われば、当然ながら夜はリラックスタイム。参加者の皆様にグルメに堪能していただいたり、地元ホスト会社のプライベートの空間で、お食事会に招待されたり、美味しいお酒と専属シェフによる地元料理を楽しみながら、中国側の出席の皆さんと交流を深めます。

 これは、私が企画するツアーならではの、普通では経験できないことです。なぜツアー参加のリピーターが多いのかということが、最近わかりました、珍しいことを経験でき、おいしいお酒を飲めるからです、そしてとても楽しい!(おわり)

*北京ツアーに関する情報は、もっと詳しいレポートは、下記をご参考に。


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