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中国(上海市)介護保険制度全域実施へ

1月1日に上海市政府は「上海市長期介護保険制度」を上海全域に実施すると発表しました。これは一年前からの上海市の三つの区で先行的な試験実施を経ての全域展開となりました。

一昨年、中国中央政府機関「中国人力資源社会保障部弁公庁」が全国範囲内で介護保険の実施を「試験的」に指定した15の都市と地域の中で、早くも全面展開したのは上海だけです。

昨年から一年間の3つの区で試験的に実施してきた仕組み、内容、規定などとは大きな変更はないです。利用対象者は、介護度2~6と認定される60歳以上。サービスの範疇は施設、在宅、コミュニティ病院と高齢者長期療養病院においての介護サービスと一部の医療サービス、合計42項目。

利用者は在宅の場合10%自己負担、施設の場合は15%負担となります。

上海市政府としては、この制度を立案実施してきましたが、これまで慎重に様々な研究や議論を重ねてきました。政府の担当関連局は5つを数え、上海市政府の主要な局が総出で今回の制度を支える格好となります。

上海市は10数年前から、EUや日本から同類のシステムを研究し、独自の認定システムを構想しつつ整備してきました。

現在一番の喫緊課題は、「人材確保」ということです。これまで介護に従事するスタッフの学歴が低いなど、お手伝いさんレベルが大半であるため、今後、制度下においての介護を担う専門性の高い人材が求められます。政府は今後これまで以上に、人材育成に様々な支援策を行う予定です。

このような状況の中で、約20年近く先に介護保険を実施してきた日本は、今まで以上に中国にとって参考の見本となり、注目されつつであるのでしょう。日中交流の場は一層熱くなると予測します。

(高齢者住宅新聞 2018年1月連載寄稿)

「中国(上海)介護保険全域実施へ」(高齢者住宅新聞 連載第73回 2018年1月掲載)


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