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「中国上海では認知症ケアの研修が始まる」

昨年発表した統計では、中国の65歳以上の高齢者の5%が認知症を患っており、600万人近い数となる。中国で高齢者人口率が一番高い上海では、60歳以上の人口387万人に、7%の27万人の認知症高齢者がいるとの統計が出ている。

この数字の信憑性をどうこう言っても、それには無理がある。中国は認知症分野に関して、大衆の知識や、専門的な研究などが大幅に遅れているのが現実。例えば、歳を取るにつれ忘れっぽくなったら「もう認知症?」と思うのが一般的で、加齢による記憶力減退と病気の線引きが曖昧なゆえに、受診率が低く、治療の遅れや、症状が段々悪くなるケースが多い。また、これまでは認知症患者の多くは精神科や神経内科などの医療機関に送られて入院となる。

このように、認知症の人が病院に入院しているのか、放置されているのか、あるいは家族が憔悴するまで介護しているのか、これが今日の現状。既に介護施設に入居している高齢者の中には、加齢とともに認知症になっている人は増えているが、入居の時点に認知症と分かれば、公立はほとんど満床で入ることが出来ず、また、民間施設も責任を負うことが出来ないという理由でなかなか受けてくれない。現在上海市では、市立の認知症専門施設と称する施設は一箇所しかなく、認知症高齢者の介護問題が深刻化している。

このような状況はこれからようやく変わりつつある。上海市政府の主導で、まず区という単位で、認知症介護の研修を始めることとなった。公立施設を試験地として、全国範囲で病院の精神科の医者やその他の認知症研究専門家を招き、認知症の特徴や介護理念と方法などを授業として研修を進めている。ただ、施設での介護は病院との違いが多く、医療という観点ではなく、生活ケアという角度の認知症のノウハウがまだ少ないと研修現場の責任者が言う。

数年前、私はNHKの「上海高齢者介護事情」という特集番組のコーディネートをした時、事前リサーチで、上海市政府系研修センターの介護スタッフの研修課程を終日見せてもらった。思っていたよりレベルが高く、また使う教材や、実習内容も日本に負けない、教える側と教えられる側の真剣さも印象的。その後も教材などをもらったりして、研修センターの責任者との交流を今まで続けている、会う度に情報などを教えてもらったりしている。

介護人材育成をビジネスとして中国の市場を狙っている日本企業が少なくないようだが私は日本の介護の良さを中国でどう活かし、そして通用させ、ビジネスとして成立させるかは、そう簡単ではないといつも思う。

認知症ケア写真(認知症ケアの研修)の研修は始まってばかりだが、広がっていくのが速いのが間違いがないでしょう。

 


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