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「日中認知症ケア実践事例共有シンポジウム 2018 in 上海」企画・開催しました

企画した「日中認知症ケア実践例シンポジウム 2018 in 上海」が

4月10日に、上海華東師範大学内の大講堂で開催されました。

日本の先進的な認知症ケアの取組みを発信すると同時、シンポジウムの主催者である

「上海紅日養老グループ」の一年間の認知症ケアの実践を中国の介護関係者に共有する目的であります。(概要及びプログラムは、下記をご参照)

 

日本からは医療社団法人悠翔会の理事長佐々木淳氏、

株式会社シルバーウッド代表取締役下河原忠道氏、

映画「ケアニン」プロデューサーの山国秀幸氏らがゲストとして招待され、講演されました。 

全7時間のプログラムは、「ケアニン」の上映から始まりました。プロデューサーの山国さんからは、この映画を制作した理由とその後の各界からの感想や反応ついてお話されました。

映画は1時間40分にわたり上映されました。日本とまったく同じところで笑い、そして泣く。会場内からあちこちからのすすり泣き声が号泣に近い。

中国字幕を翻訳した私であるが、どこかホットした気持ちとなった。

家族や仕事への想いは日中共通だと改めて実感することができました。

  

午後は上海市社会福祉センターの徐主任から始まりました。
日本が地域密着・小規模で成果を上げつつあることを認識した上で、これまで大型施設の建設が中心だった上海市の介護事業も、地域単位の中規模事業所にチャレンジしていることが紹介されました。

続いて、企画側のご挨拶をさせていただきました。昨年同じく上海で開催された「トヨタ財団の国際交流プロジェクト–日中認知症ケアシンポジウム」から丸一年間の間、その時に日本からの4名の専門家により紹介した日本の理念と技術は、上海において猛スピードで浸透し実践されています。その成果は目に見える形となってきて、誠に喜ばしいことです。アジアへ日本の介護を発信していくというのは、まさにこのような形ではないかと思います。引き続き、日中の介護分野の交流を尽力してまいりたいと、お話させていただきました。

そして、日本の地域医療に貢献していて、認知症ケアに斬新な理念を持ち、啓蒙運動に精力的に活動されている悠翔会の佐々木氏により、日本での認知症(認知症ケア)に対する考え方の変化を紹介しました。認知症への対応で新しい文化と社会を作るために、日本は今、政府と民間はどういう取り組みをしているのかをお話されました。

その後、株式会社シルバーウッド代表取締役下河原忠道氏が、「シンギュラリティ時代の介護と多様性」で、立場や視点の違いにより発生している問題を解決するために、VRというテクノロジーを活用したアングルシフトを通じて、それぞれがもともと持っているパラダイムに影響を与え、新たな関係性を構築すると紹介されました。

VRで体験時間となると、会場内は沸き上がった。全員が手を挙げて体験したい。30個のVRで2回に渡り、60人しかできなかったが、できた人から感想を述べてもらって。共有はできた。

その後、日本から中国へ、日本の認知症ケアを中国でスタッフと一緒に実践中の陳さんの発表。そして、紅日から2人のスタッフの発表は、シンポジウムの最高潮となる。

中国はこれまでの介護に関するシンポジウムは大体、学者、研究者、経営者、投資家などで、どう利益を生み出すモデルを作るのかの話がメインだった。 

介護第一線のスタッフが認知症ケアの実施につき、ご自身の葛藤、挫折、心境などを語ることは、中国の慣例では初めてであり、画期的であった。 

彼女たちは田舎出身。学校教育もまとめに受けたことがない。こんな大勢の人の前ではしゃべったことがない、すごく緊張したという。時には言葉を詰まらせて、幾度も涙を流して、話が一時中断した時に、その都度会場から大きな拍手を送り続けて、聴衆まで涙を流した。

彼女たちの成長は正に「紅日」の歩みの象徴である。 

 

「今日は一日ずっと泣いていた、涙が枯れた、こんな感動的なシンポジウムは初めてだ」

VRを体験して、「衝撃でした。これまで思っていた認知症とはまったく別ものでした。認知症の方々の気持ちに寄り添いたいと思いました」

「映画ケアニンが本当に好き、もう一度みたい!この映画はすべての人に見てほしい」とあるマスコミの女性がWechatで書いた。

シンポジウムを企画した私は正直不安な部分もあった。内容が多岐で、現在の中国に受け入られるかと思ったからだ。しかし、それは杞憂に終わった。こんなに壇上と聴衆が一体となって連動するシンポジウムは私も初めてだ。

シンボジウムが終わった後、中国のSNSでは、シンポジウムのレポートや、写真、感想などが沢山投稿された。そして、拡散の連続。

「認知症で、人生終わりなんて、僕がさせない」、この「ケアニン」のセリフは中国の介護業界で「キーワード」になるでしょう。

 

 

 


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