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「あおいけあ」認知症ケア施設を見学、思ったこと

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  昨年秋、私ども日中福祉プランニングは、トヨタ財団の国際交流助成に、「日中認知症ケア交流――学び合いから共感へ」というテーマで 応募いたしました。211件応募の中から18件が採択されたれ中の一件です。一年期間のプロジェクトでは、概ね日本と中国において、それぞれ専門家チーム(4,5名)を組み、自国でのワークショップや、相手の国を相互訪問、それぞれ現地での公開セミナーを実施などのプロジェクトとなります。

私の仕事は、日ごろ、日本各地様々な介護施設を見学することが多いのですが、今回プロジェクトのために、「認知症ケア」に絞っての見学・討論の機会を得ました。

藤沢市の介護事業法人「あおいけあ」、「品川区立大井認知症高齢者グループホーム」、社会福祉法人新生寿会の特養施設「きのこの杜南麻布」をお訪ねさせていただきました。

「あおいけあ」は、今、大変注目されている、まさに日本介護業界の「時の人」、NHKプロフェッショナル仕事の流儀に出演された加藤忠相さんに自らご案内いただきました。

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見学したそれぞれの施設は、それぞれの特徴がありますが、総じて、施設ではなく、普通の家だと言えるのです。小規模多機能でも、グループホームでも、デイサービスでも、とにかく普通のお家のように温かく和やかな雰囲気。皆さんがテーブルを囲んで楽しくおしゃべりしたり、食卓を囲んで共同作業で昼食の支度していました。個室があり、どの部屋もそれぞれの個性が反映されて、自宅のように仏壇や、タンスなど,ごく普通のお家の風景。その部屋にはトイレが配備されています。排泄ケアは人の尊厳を保つ重要なポイントからです。それらの施設もう一つ共通しているのが、一日の生活リズムはすべてその人これまでのものに準ずる、入浴にしても、好きな時間でいいということです。

スタッフは決して職員ではなく、この家の一家族だ。「きのこの杜南麻布」では、スタッフが子供連れで出勤してよし、ベッドもOkです。毎日のお食事はユニットごとに献立を考え、作り、入居者と一緒に食べます。「あおいけあ」では、入居者のおばあちゃんが食器洗いをしました。
それぞれの入居者の性格と身体状況を熟知したスタッフが、それぞれの入居者に必要なケアをしているというよりも、「家族」の中にそれぞれの役割を演出しているような感じです。
「品川区立大井認知症高齢者グループホーム」では、施設長が部屋を案内してくださった際、入居者の名前を丁寧に口にします。

体が不自由になっても、認知症になっても、尊厳と自由を維持できていることは明白です、と書くのは簡単ですが、その実現と道のりは容易ではないです。であるからこそ、その実現に向けての熱量は、国や政治とは関係なく、ヒューマニティーの根源から湧き上がるものだと改めて実感しました。
このような熱量の高い人は中国にもいます。しかしながら、今の中国の認知症ケアの現状は、日本から学ぶことが沢山あります。私としては、国境なしで高齢者の幸福のためにも理念を伝えるべきと考えます。これこそが、交流の本当の意義であります。


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